訪問リハビリが終わり、少し外を歩いていると、桜やタンポポ、椿の葉を見て春の足音が感じられる季節になったなぁと感じます。
今日は楽に歩くこと、特に片麻痺の方が楽に歩くためのポイントについて書きたいと思います。
その前にお散歩中に出会ったかわいい春のお花を少し乗せておきますね。
片麻痺の方の歩行の特徴
皆さん歩くときに何かお困りごとはありませんか。
私がよくご利用者様からお聞きすることは、
- 麻痺側のつま先がひっかかってしまう
- 麻痺側の足を振り出すときに外にぶん回しになってしまう
- 足が突っ張って棒のようになる
- 麻痺側の足が頼りない、麻痺側の足が重たい
- 歩くと麻痺側の肘がまがってきてしまう
- 下ばかり見てしまう
- 長く歩くと足や腰が痛くなる
- ふらふらする
- 疲れる、怖い
- 家の中はいいけど、外になると歩けない
などです。人によってはもっとたくさんの症状でお悩みの方もおられると思いますが、
同じ脳梗塞、脳出血という病名でもお一人お一人の症状が違いますよね。
そのような症状を改善するために日々皆さんが工夫されていることを伺うと、
多くの方が歩くときにご自身の体のパーツに意識を向けて歩かれているようです。
例えば、
- 引っかからないように大きく足を持ちあげたり
- 杖をしっかり握って、床に押し付けて足を出したり
- 体が丸まらないようにおなかに力を入れて歩いたり
- 踵からつくことを意識したり
などです。本当に頑張って意識して努力されています。そして、頑張って歩いてすごく疲れてしまって、寝込んでしまうということもよくお聞きします。
片麻痺の方が楽に歩くには
そのような方に、本日ぜひお伝えしたいことは
【本来人間には頑張らなくても楽に歩く能力がすでに備わっている】ということです。
正常な歩行に共通していることは、
歩き初めと立ち止まるとき、障害物をよけるとき以外は無意識の神経システムを使って歩いているということです。
正常な歩行は意識的ではなく努力的でもないということです。
でも、中には意識しないと歩けない方もおられます。
全く歩けない方が意識して少しでも歩けるのであれば、そのほうがいいという場合もあり、
決して意識するのは良くないですよと言っているわけではありません。
私はリハビリを支援する者として、正しい歩行をするのであれば楽に歩くこと、意識しないで歩くことを一緒に目指したいのです。
ただし、この無意識の神経システムが働くにはいくつかの条件があります
- 硬いところ、体を固めて固定しているところが少ない
- 適度に安定した接地面(不安定過ぎず、安定しすぎず)
- 手足が自由にうごけること
- 姿勢のゆがみが少ないこと
等です。
大切なことは、正しい筋肉の位置から適度な筋肉の張りの情報を脳に送ることです。
実践ですぐに工夫できることとしては、
- 硬いところ、体を固めて固定しているところが少ない⇒杖を押し付けすぎない、手すりを強く持ちすぎないなど
- 適度に安定した接地面⇒初めは凹凸の少ない道を歩く、足にあった靴を履く
- 手足が自由にうごけること⇒なるべく手足が自由に動けるお洋服にしたり、介助者の介助の仕方でも変わる場合があります
歩行のリハビリではどのようなことをするの
では、リセセラの実際の施術では、どのようなことをするかというと
- 歩くことのどこに問題があるのかということをまず評価します(麻痺側の足で支えるときなのか、足を振り出すときなのか等)
- なぜそこが問題になっているのか
- どうやったら解決できるのか
そして、その問題に対して必要な関節や筋肉の可動性や張りを出したり、必要なだけの筋活動や筋の働く順番などを丁寧に1つ1つ積み上げていきます。
さらには、歩くために歩く練習だけではなく「立ち上がり」や「立位保持」に着目して練習を行う場合もあります。
歩行を意識的に頑張っておられる方の多くの方が、「立ち上がり」や「立位保持」の時点で何かしら質的なエラーがみられます。
手すりを強く引っ張って立っておられたり、お尻を持ちあげることに時間がかかったり、座るときにドッスン座りになったり、立ち上がり直後にふらついたりなどです。
でも、その歩く前の段階の立ち上がり⇒立位保持動作の質を高めていくと、「楽に歩けるー!」「体が軽ーい!」と言われることが多いのです。
こうやって、正常歩行に近づけていくには下準備が結構あるんですね。
正常歩行は楽に歩くことです。頑張らないで歩くことです。と言いながら
実は裏には1つづつ丁寧にこなしていく下準備もたくさんあるわけで・・・。
これをお一人の力でやるには大変なので、もしお一人で頑張っていらっしゃる方がおられたら、
私たちリハビリの専門職に少し頼っていただけたらと思うのです。
一人で頑張らないで大丈夫ですよ。もっと誰かの力をかりることで楽になれることがあるはずです。
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